時事問題

マスク品薄解消するは嘘!なぜ買えないか原因を調査してみた

マスクを買うために、ドラッグストアを訪れたり、通販サイトを見たりしている人は多いことだろう。

1月下旬あたりから続いてるマスクの品薄は、いったいいつまで続くのだろうか?

各マスクメーカーの増産や異業種からのマスク参入などのニュースが話題になる中、一向に品切れ状態が解消されないのはなぜか。当サイトにて原因を調査してみた。

1.そもそも日本のマスク生産量は?

日本のマスクの生産量を調べてみた。

年間55億3800万枚(2018年)
※国内生産・輸入数量を合算

引用元:一般社団法人 日本衛生材料工業連合会(マスクの統計データより)

また、日本で販売されているマスクの8割が輸入品で、残り2割が国内生産されている。

今回、細かな内訳は無視するが、実際は「家庭用・医療用・産業用」とに分類される。比率はおおよそ「77%・18%・5%」だ。

2.日本でマスクは何枚必要なのか

分かりやすくするために、細かな計算は抜きにして下記のように考える。

  • 日本の人口:1億2000万人
  • 1ヶ月(30日)に必要なマスクの枚数:1億2000万人×30日=36億枚
  • 1年(360日)に必要なマスクの枚数:36億枚×12ヶ月=432億枚

全人口が使い捨てマスクを1日1枚使った場合、日本でマスクは
1ヶ月:36億枚
1年:432億枚
必要な計算になる。

3.どれだけマスクの生産量を増やせば良いのか

今のマスクの生産量では、需要量に追いついていないが明らかなのは容易に理解できる。

それでは単純に生産量を何倍にすれば、需要に追いつくのか?

423億枚÷55億3800万枚=7.8倍

何と、約8倍に生産量を増やさなければならない計算になる。

4.各メーカーのマスク増産、異業種からのマスク参入による影響は

各メーカーがマスク生産設備の増強をしたり、異業種からマスク参入をしたりと話題にはなっているが、実際の影響力はどれほどか?

経済産業省によるマスク生産補助金の公募案件があり、ある程度数値を読み取れる。

マスクの主要なメーカーである興和は、ラインを新設することで1,200万枚/月、今後24時間稼働により2,700万枚/月を目指している。

異業種ではシャープが、マスクに参入したことで有名だ。シャープではマスクの設備導入後450万枚/月、24時間稼働により600万枚/月の生産を見込んでいる。今後の設備増強に伴い、1,500万枚/月を目指している。

またアイリスオーヤマは、7月から国内・中国を合わせて2億3千万枚/月まで生産量を増やす予定だ。

4-1.既存設備での増産、ライン新設と異業種からの参入を考慮して計算

各メーカーの既存設備の生産量を全て把握することができなかったが、ここでは約2倍に増産すると仮定する。(既存設備を24時間稼働にしたと仮定している。)

また、ラインを新設したり、異業種からの参入により、多く見積もって20億枚/年を生産できたとする。

  • 既存設備の生産量×2倍:55億3800万枚×2=110億7600万枚/年
  • ライン新設や異業種からの参入:20億枚/年
  • 増産後のマスク生産量:110億7600万枚+20億枚=130億7600万枚

単純計算で、マスクの供給量は2018年度と比べると

約2.4倍

に増える計算だ。

約8倍に増やさなければならないところが、現在の情報では約2.4倍という結果だ。

これでは、マスク不足が解消されるとは言えない状況だろう。

5.マスクが品薄になっている原因を分析してみた

マスクの供給量が明らかに不足していることは確認できたが、他にもマスクが品薄になる要因を記載する。

5-1.マスクの供給量不足の不安による家庭内ストック

ドラッグストアや通販サイトでは、マスクがいつも品薄状態なので不安になり「売っていれば買わなければ」という心理が働いている。

1ヶ月分くらいのストックが無いと心配という人が多いのではないか。

全人口が1ヶ月分をストックするには、約36億枚の増産が必要だ。

家庭内在庫が、更にマスクの品薄に拍車をかけているのは間違いない。

5-2.布(ガーゼ)マスクの不人気

我々が普段使っている使い捨てのマスクは、不織布(ふしょくふ)マスクと呼ばれているものだ。

政府から布マスク(アベノマスク)が配布されるが、不織布マスクと比べると不人気なのが実情だ。

布マスクは不織布マスクと比べると小さいため、見栄えが悪くなることが主な原因だろう。

布マスクの最大のメリットは「何度も洗って使える」ことだが、使われなければ意味がない。

布マスクの利用者数が増えれば、マスクの品薄改善に効果をもたらせるのだが、今のことろ目に見えた効果はない。

6.結局、マスクはいつまで品薄なのか

結論から言うと、当面マスクの品薄が解消されることはない。

家庭内ストックを加味すると、各マスクメーカーが「更に約3.5倍の増産」を行わなければならない計算になる。

これはすぐにどうにかできる数字でないのは明らかだ。

7.どうすれば、マスクの品薄が解消されるか

マスクの品薄が解消される条件を列記する。

  • コロナ禍の終息を迎える
  • マスクの供給量が500億枚/年を超える
  • 不織布マスクから布マスクへのシフト

コロナ禍の終息が一番望ましいが、緊急事態宣言が延長されている以上、当面はこの状況が続くだろう。

また、マスクの供給量をすぐに増やすのは難しい。

政府を擁護するつもりはないが、そうなると現実的な解は「布マスクを利用すること」になる。

頭では分かっていても、布マスクに抵抗がある人はまだまだ多いはずだ。

上記から判断すると、一番先にマスクの品薄が解消される時は、意外にも「布マスクがイケてる、格好良い、クール」となった時かもしれない。


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